AIで出品が自動になる時代に、プロが確かめること
出品の作業が、AIで自動になり始めています。大手のモールでは、外部のAIから商品ページの作成や価格・在庫の変更ができる仕組みが用意され始めたと報じられています。中国の仕入れの側でも、AIが工場を探し、見積を取る動きが広がっています。
出品の手間が減るのは、売り手にとって大きな助けです。ただ、自動になるほど、残る仕事がはっきりします。この記事では、義烏で中国の商品を見続けてきた検品の現場から、AIの時代にプロが確かめていることをまとめます。
自動になり始めたこと
中国の商品ページの翻訳、商品画像の加工や作り直し、出品の文章の作成、価格や在庫の更新。これまで人が手で行っていた作業の多くを、AIが代わりに行えるようになってきました。1つの商品を出すのにかかっていた時間は、これから大きく短くなっていきます。
AIが読むのは「画面の情報」
AIが出品を作るとき、材料にするのは仕入れ先の商品ページの文字と画像です。ところが、中国の商品ページは、実物とそのまま一致しているとは限りません。
一覧に出る値段はいちばん安い色やサイズの値段であること。画像が別の色や別のモデルのものであること。容量や寸法の書き方が、実物と違うこと。認証の表示が、売り手の自己申告であること。AIはこうしたずれを見抜けず、そのまま日本語の出品に写してしまうことがあります。
中国の商品を長く見ていると、ずれが出やすい場所が分かってきます。画面のどこを疑い、届いた実物のどこを見るか。ここが、経験の差がいちばん出るところです。
プロが確かめる3つのこと
1つ目は、仕様が実物と合っているか。寸法・容量・素材・色が、出品に書いたとおりかどうか。届いた実物で測って確かめます。同じ品番でも、ロットが変わると素材や寸法が変わっていることがあります。初回だけでなく、再発注のたびに見るのがプロのやり方です。
2つ目は、中身がそろっているか。付属品、入り数、説明書、パッケージ。商品ページに書かれていない物が付いていたり、書いてある物が入っていなかったりすることがあります。中国向けの説明書や、日本では使えない差し込みプラグが入ったまま、ということもあります。
3つ目は、日本で売ってよい物か。電気用品、無線の機器、食品に触れる物などは、日本の法令の対象になることがあります。中国で普通に売られていても、日本ではそのまま売れない物があります。商品名や見た目からは対象かどうか分かりにくい物も多く、ここは経験のある人が見ないと見落としやすいところです。出品が速くなるほど、この確認を飛ばしたまま出してしまう危険も大きくなります。
モールの側も、AIで確かめる
モールの側も、AIで商品画像や文章を読み取り、カテゴリや規制の対象を自動で判定する仕組みを強めています。海外のモールでは、中国の商品画像に子どもが写っていたために子ども用品として扱われ、追加の書類を求められた例も報告されています。仕入れ先の画像や文章をそのまま使うことが、思わぬところで止まる原因になります。
速さと確かさを分けて考える
出品はAIで速く、仕入れはプロが確かめる。この2つを分けて考えると、AIの速さを生かしながら、失敗を減らせます。新しい商品は、最初のロットを実物で確かめてから出品を広げる。仕様や中身が変わっていないかは、再発注のたびに確かめる。AIが見つけた候補を、プロが実物で確かめる順番です。
タオタロウ(運営:ゴールドバッハ株式会社)は、義烏の自社倉庫で検品してから日本へ送る中国輸入代行です。義烏の現場には、10年以上働いている社員が多くいます。日本のEC事業者の仕入れに加えて、日本の大手チェーンストアの商品の検品もお引き受けしています。実物の寸法や中身の確認、日本で売る前に確かめておきたいことのご相談もお受けしています。
執筆:和田太郎(タオタロウ代表)